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  • デザインミュージアムジャパンフォーラム2023
    Vol.1「集めてつなごう デザインの宝物」イベント開催レポート

    開催概要

    イベント名 デザインミュージアムジャパンフォーラム2023
    VOL.1「集めてつなごう デザインの宝物」
    日程 2024年1月14日(日)
    主催 NHKエデュケーショナル、NHKプロモーション、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
    協力 一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
    会場 国立新美術館講堂
    登壇 竹谷隆之(造形作家)、小池一子(クリエイティブディレクター)、
    名久井直子(ブックデザイナー)、片岡真実(キュレーター)、永山祐子(建築家)
    モデレーター 岸枢宇己(テレビマンユニオンディレクター)、倉森京子


    2012年に三宅一生・青柳正規氏が旗揚げした「国立デザイン美術館をつくろう!」というパブリック・シンポジウムから始まった、国立デザインミュージアム設立をめざすプロジェクト。その後、様々な場で活躍するクリエーターや美術館関係者も交え、たくさんの議論の場が設けられました。
    2020年からはNHK番組「デザインミュージアムをデザインする」が放送スタート。番組は全国に拡張し、NHKの地域放送局がクリエーターたちと日本各地の「デザインの宝物」をリサーチし紹介する特集番組「デザインミュージアムジャパン」が放送され、2022年11月には番組で紹介した実物を見ることができる関連の展覧会「DESIGN MUSEUM JAPAN展」(国立新美術館)も開催。大きな反響を呼びました。

    今回のトークは、デザインミュージアムプロジェクト関連番組である「デザインミュージアムジャパン2023」に出演いただいたゲストの方々に登壇いただき、それぞれのリサーチ内容の紹介とあわせ、日本にはどんな「デザインの宝物」があるのか、会場の皆さんとともに探ってゆくトークプログラムです。

    トークゲストは、造形作家の竹谷隆之さん、クリエイティブディレクターの小池一子さん、ブックデザイナーの名久井直子さん、森美術館館長でキュレーターの片岡真実さん、建築家の永山祐子さん。番組のディレクターを務めたテレビマンユニオンの岸枢宇己さんと、番組プロデューサーであり一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM代表理事の倉森京子さんがモデレーターを務めました。また会場には、各地のNHK放送局で番組を担当したディレクター5人も来場しました。

    「漁師と船大工の心意気」を感じる
    北海道・漁船の化粧板

    最初は、造形作家の竹谷隆之さんのお話。北海道・留萌を訪れ、70年ほど前までさかんだったニシン漁漁船の化粧板に施された文様をリサーチしました。北海道出身の竹谷さん、船大工たちが施した様々な彫刻の文様は、幼い頃から強くひかれていたと言います。会場には、実物の化粧板も持ち込まれ、登壇者の皆さんで船大工の仕事に見入りました。

    竹谷隆之
    北海道でニシン漁がさかんだった頃、漁船の後ろの方には飾り板がついていまして、機能としては重要ではなかったと思いますが、一つひとつ違う文様が船大工によって彫られていました。子どもの頃、港や浜に行くとそうした船がいっぱいあって、子どもながらに美しいなと思っていました。今回取材で留萌に訪れたのですが、地域や船大工によって違う文様だったり、見たことのない化粧板がたくさんあり、すごく面白かった。普段見ている彫刻は、きれいに仕上げれば完成度が高く見えますが、この化粧板を見ていると、荒々しく彫られていて、のみの跡が残っているものが多い。手慣れた職人がザクザクやったようなカッコよさがあって、本当に美しいと思いました。

    名久井
    海のものなのに牡丹の花の文様があしらわれていたりするのが面白いですね。おめかしのためにつけていたんだなという気がします。

    竹谷
    荒々しいだけじゃなくて優雅さもありますよね。僕は北海道の漁村で育ったので非常になじみがある。「デザインの宝物を」と言われた時に、地方の特色があって実際に人間が使っていたものがいいなと思い、これを選ばせていただきました。

    牡丹の文様が彫られた化粧板。

    牡丹の文様が彫られた化粧板。

    時間をかけて熟成する
    野面積み、石垣のデザイン

    次に語ったのは、建築家の永山祐子さん。滋賀県で代々続く職人の技、「野面積み」をリサーチしました。この技は戦国時代以来続く穴太衆(あのうしゅう)の技術で、大小様々な自然石を加工せずに積み上げる石垣です。自然の石をそのままの形で積み上げていく、見事な技術について語りました。石垣を会場には持ち込めないので、番組で取材したVTRが上映され、その場の素材と自然環境を活かした職人の腕に場内一同歓喜しました。

    野面積みの取材現場にて。

    野面積みの取材現場にて。

    永山祐子
    職人たちの仕事は河原に石を拾いに行くところから始まります。設計図などは特になく、石を積む現場で形をイメージしながら作るそう。腕のいい職人になると、石を積んだ後に持ってきた石がぴったりなくなります。石と石の間にある隙間には、小さな石がハマっていて、それが免震構造的に緩衝材の役割を果たしています。地震の多い日本で培われてきた知恵と技術だなと思いました。
    知恵のデザインの中にも、職人さんの美意識があるのが面白かった。普通、安定を優先させて積むのであれば巨石の長い片を下に持ってくるのですが、わざわざ斜めに積んで柄のように見せているものや、大きな石を使って派手に表現されているものがありました。様式美というよりは、個人個人の思いや美意識、美への解釈が見えるようでした。石垣を見ていると、この部分は同じ職人さんかなとか、ここを作ったのはバランスを重視する方かなとか想像できて、すごく面白かったです。

    名久井
    まずは石垣の大きさに驚きました。そして、作り方は記録にないんですか?とお聞きしたら、書面にはなくて全部口伝で伝えられている、なぜなら戦国時代の機密事項だから、とお聞きして、さらに驚きましたね。

    完成するまでに何十年、何百年かけて評価されるという、時間を見越した設計がすごいですね。

    永山
    環境と時間で強くなっていく。時間をかけて熟成されていくのが、野面積みのデザインだと思います。

    「糸」そのものから「糸」その先へ
    ブックデザイナーの名久井直子さんは山形を訪れ、2種類の〈糸〉をリサーチしました。木の皮から繊維をとりだし、21工程もの加工を経て1年がかりで作るという「しな織」の糸。そして、世界最先端の「極細モヘア糸」は、60年前の機械を使わないと作れないものなのだそうです。会場では、2種類の糸の実物を見ながら、その技術力の高さと自然を生かしたデザインに目を見張りました。

    名久井
    「しな織センター」では、1年近くかけて作る「しな織」の工程や、織り方を見せていただきました。わりと若い方も織っているのが印象的でした。もう一方の「極細モヘア糸」は、会場にあるニットを見ていただけばわかりますが、向こうが透けて見える薄さ。1グラムのモヘアから50数メートルの糸を作るという、くもの糸のような細さでした。この糸は、世界の名だたるファッションブランドにも採用されているのですが、1958年製の機械を調整しながら、作られていることに感銘を受けました。

    片岡真実
    これは木の内側の皮ですよね。編むということが始まるよりも以前から、バークツリーという、木の皮を用いた紙が世界各地で作られています。こういった技術は各地で死に絶えつつありますが、近年、世界各地で若いアーティストたちが技術の再生を試みているという傾向もあります。

    「しな織」で使われるしなの繊維としな織で作られたバッグ。

    「しな織」で使われるしなの繊維としな織で作られたバッグ。

    極細モヘアの糸と、その糸で編まれたニット。

    極細モヘアの糸と、その糸で編まれたニット。

    小池一子
    この2種類の糸は発見ですね。私がそっちに行きたかった(笑)。一つひとつの繊維の細さも素敵なんだけど、色も美しくて、織られた平面がきれいだなと思いました。

    名久井
    この糸の開発には、若い方も参加されているようで、いろんな色が出るように工夫されていたり、編まれた時に素敵な柄が出るような糸が開発されていたようです。「しな織」では、どんな素材からでも糸が出来るという根源的なことを感じた。もう一つの極細モヘア糸で感じたのは、私が仕事でよく行く本づくりの現場でも、古い機械をどう調整していくかがとても重要なんです。人が中身に触ることができないコンピュータ制御の機械ではなく、人が介入できる余地がある機械。糸の世界にも同じようなものがあるんだなと思いました。その二つを見て、糸になることも大事だけど、さらにその先の糸を見せてもらったような気がします。

    見えなくてもデザインする、
    常滑で見た産業陶器のデザイン
    森美術館の館長でありキュレーターの片岡真実さんは、国際芸術祭「あいち2022」の芸術監督として魅力を知った愛知・常滑をリサーチしました。焼き物の町として900年以上の歴史を持つ常滑は、タイル・電らん管(セラダクト)など時代が求める産業陶器を作り続けてきました。機能第一という制約の中に込められた「美」について、そしてデザインについて語り合いました。会場では、常滑の陶芸の取材映像とともに、常滑という場所の特殊性について、工芸と産業の関係性、デザインとアートの不可分な領域について語られました。

    片岡
    常滑という場所は、ひと言で背景を説明するのが非常に難しいところです。まず日本には、中世から現在まで生産が続く、六古窯(ろっこよう)と呼ばれる代表的な6つの窯(越前・瀬戸・常滑・信楽・丹波・備前)があり、常滑はそのひとつです。常滑では、中世から江戸、明治の頃より、その時代時代に合った様々な陶器が作られてきました。そして、常滑は海に面していますので、愛知県で作られた陶器が常滑に集められ、船で江戸や上方の方に流通していきました。明治時代には、土管や電らん管が作られたり、衛生陶器が作られたりして、その後近代化・工業化が進むに従って大量生産品も増えていきます。

    片岡さんは、柳宋悦の図を元に、工藝と美藝の分類について紹介。常滑は、この分類の中で言うと民藝の中でも機械的、資本的工芸に近いが、個人で作品を作っている作家も多く、民藝と美藝両方の分野にまたがった活動をしている人も多いと言及。工業デザインと個人的な表現が非常に複雑に絡み合いながら、発展してきたと語りました。そして、愛知県の明治村に移築された、フランク・ロイド・ライト設計の旧帝国ホテルで使われたスクラッチタイルや、堀口捨己が設計したとこなめ陶の森陶芸研究所などを紹介。そして、常滑に脈々と受け継がれている、陶芸を扱った現代美術のアーティストの作品や、常滑の地を題材に『あいち2022』に出品された作家の試みを紹介し、常滑の街を「アートと工芸、デザインが交錯するところが面白い」と評しました。

    片岡
    番組で紹介したのは「電らん管」のデザインです。これは陶製の工業製品で、地下に埋めて多種多様なケーブルを通すもの。いまも世界から発注がきているそうです。そこで頭に浮かんだのは「見えないデザイン」。地中に埋まってしまったら、その姿を見ることはできないんですが、陶で出来ていることによって金属のように錆びることもありません。素材の性質を生かした機能美だと思いますが、そのような存在に大変興味を持ちました。

    竹谷
    これは量産品なわけですよね。ケーブルを通すための機能のデザインなのだと思いますが、すごく内側が美しい、丁寧な仕事だと思います。

    永山
    タイル自体を作ったこともあり、すごく興味がある素材です。最近では剥離の問題などがあり、外壁にタイルを使う建物が減ってきています。以前に博物館で4000年前のタイルを見たことがありますが、焼き物だからすごくきれいな色がそのまま残っているんですよね。時代によって色が褪せることのない、貴重な素材の一つだと思います。旧帝国ホテルのスクラッチタイルなど、タイル一枚を見ただけで建築家、オーナーさんのこだわりがわかります。もう一度タイルの可能性を広げて行きたいですよね。

    片岡が番組の取材で訪れた、電らん管を再利用して建てられた家。このように常滑では、各所で使われなくなった陶器が再利用されている。

    片岡が番組の取材で訪れた、電らん管を再利用して建てられた家。このように常滑では、各所で使われなくなった陶器が再利用されている。

    時間を飲み込んだものの美しさ、
    「端縫い」は時代を繋ぐ。
    最後に、クリエイティブ・ディレクターの小池一子さん。秋田県西馬音内地区で700年以上続くとされる盆踊りの衣装「端縫い(はぬい)」をリサーチ。祖先の着物をほどいて縫い直し、時代を繋いでいく精神と技術に美しさを見出しました。会場には美しい「端縫い」の着物が展示され、登壇者たちは布を間近に見ながら、その高度な技術力にため息をつきました。

    小池一子
    日本には「ハレ」と「ケ」という言葉がありますが、この着物は、「ハレ」の日の着物を大事にし、地味な(ケ)の着物を額のように周辺部にあしらい、まるでタブロー(一枚の絵)のよう。着物を見るだけでファミリーツリーを感じます。物を大切に次世代に受け継いでいく、そんな精神を感じました。端縫いというのは、いろんな着物の部分を縦につなぎ、布をはぎ合わせてつくっていくもので、盆踊りの時に着て踊っていました。踊る時には、菅笠で顔を隠します。顔を隠すこと自体は珍しいことではないのですが、ここには黒いマスクを被って、完全に顔を見えなくしてしまう装束も伝わっています。隠された顔の下には、ひょっとしたら亡くなった人が来ているのかもしれない。そんな想像が湧きました。

    永山
    単に縫い合わせているだけかと思ったら、布と布との境目が、縫い目を感じないくらい一体化している、すごい技術が込められています。

    片岡
    赤が非常に特徴的ですね。

    小池
    裏を見せるという感覚がきいているように思いました。この街には藍の盆踊り装束もあるのですが、それも同様に袖口に赤をあしらっています。いままで着てきたものをほどいて新しい着物をつくるために一反の巻物にする、その時に「端縫い」という技術が生まれたのだと思います。

    日本各地の「デザインの宝物」
    会場から様々なものが推薦されました。
    後半は、「おしえてください、あなたの〈デザインの宝物〉」と題し、会場に設置された日本地図に、参加者の皆さんそれぞれがおすすめの「デザインの宝物」を書き込んで貼りました。それらデザインの宝物をめぐり、会場と壇上から様々な意見が交わされました。会場から出たデザインの宝物には、「北海道/網走監獄」「明石(兵庫県)/蛸壺」「伊勢神宮(三重県)/式年遷宮」「奈良県生駒市/茶筅(ちゃせん)」「箱根(神奈川県)/組木細工」「新潟県/笹団子」「群馬県/創作こけし」「埼玉県/桐タンス」「金沢(石川県)/九谷焼」「全国/箱膳」「熊本県/肥後象嵌」「沖縄/ハーレー船」(順不同、一部抜粋)と、全国から多彩なものが挙げられました。

    小池
    「網走監獄」は面白いですね。こうした建物を博物館やホテルに活用できるといいなと思います。

    鈴木彰梧(NHK旭川ディレクター)
    網走監獄は、現在はミュージアムとして活用されていますが、以前に取材をして、すごい建物だと思いました。囚人の環境としては最も劣悪なものだと思いますが、囚人同士が目を合わせないようにする工夫や、囚人を逃がさないためのデザインの工夫が詰まっていると思い、宝物に挙げました。

    客席より発言
    奈良県の刑務所では、ホテルにリノベーションされたところもあるようですね。

    永山
    私は北海道の「漁家住宅」と、瀬戸内海のみかん畑(段々畑)に興味を持ちました。段々畑というのは、人工とランドスケープの間みたいなデザイン。こういう場所をどう活かしていくかを考えていくことも大事だと思う。

    名久井
    昭和のレトロなガラス窓、すりガラスに興味を持ちました。このプロジェクトに関わって、デザインについて考えていた時に、時代を経て残っているデザインも重要だと思うのですが、時代を経て消えてしまったデザインもものすごく重要だと感じました。すりガラスは、うちの実家にもありましたが、今は作られているところも少ないと聞き、とても気になる存在です。そのように、すごくたいそうなものじゃない、ささやかなものにも残した方がいいものがあるなと思いました。

    永山
    そうしたレトロなガラスは型板ガラスといって、現在ではほぼなくなってしまった技法です。この技法だと、どうしても大きなガラスは作れないので、小さいガラスを格子状に組合わせたりしなければならないという制作上の制限があります。また、この時代のものは型がなくなってしまうと、もう作られなくなってしまう。そこが難しいですよね。

    竹谷
    北海道の「アイヌ文様」と、沖縄の「ハーリー船」に興味を持ちました。アイヌ文様には、自然から得た形や日本の原風景を感じますし、沖縄のハーリー船には北海道の漁船にも通ずるような、でも違う部分もあり非常に興味が湧きました。

    皆さんが考える
    デザインミュージアムとは?
    最後に、登壇者の皆さんに「どんなデザインミュージアムができたらいいか」をひと言ずつお聞きし、会場とも意見を交換し合いました。

    片岡
    「日本には、建築もデザインも、工芸もミュージアムがあるのに、デザインミュージアムがないというのは由々しき問題。伝統的なものからプロダクトへの発展まで、歴史化していくことは急務だと思う」
    「お国自慢に終わらず、各地の宝物が見えてきたところで、それが世界各地とどう繋がってくるかが展示で見えてくると面白い。台湾や韓国等、隣国との繋がりなども見えてくる。政治的な境界に留まらないことが重要」

    竹谷
    「日本各地で小規模でいいからやり始め、それを全国に紹介していくような方法も考えられる。また、朽ちてしまうものをデジタルスキャンし、コンピュータで見るという方法もあると思う」

    小池
    「情報交換をし、ネットワークを作ることなら今すぐにでも始められると思う」
    「何を収蔵すべきか、どんな場所にすべきか。常に意見交換できる場を持つことが重要」

    名久井
    「建物をつくるのも大事だが、現地にいってあれもデザイン、これもデザインだと気付いていくことが重要だと思う。いまあげられているようないろんな地域のツアーを定期的にして、意識を高めるような活動ができたら」

    永山
    「話を聞いていて、拠点はひとつ必要だと感じた。単にものを集めるだけではなく、ラーニングの拠点が必要。そこから学びの目線をもって、日本各地を巡ることが大事だと感じた。リアルな場所の繋がりと同時にバーチャルの空間、その二つが補完し合うといいと思う。また、ファンディングの仕組みのことも検討が必要。ふるさと納税を使ったり、クラウドをうまく使った集め方が検討できると、サステナブルな循環が生まれると思う」

    (文・構成/上條桂子)



    デザインミュージアムジャパンフォーラム2023
    Vol.2「デザインミュージアム宣言~デザインミュージアムをデザインする~」開催レポート

    開催概要

    イベント名 デザインミュージアムジャパンフォーラム2023
    〈Vol.2〉「デザインミュージアム宣言~デザインミュージアムをデザインする~」
    日程 2024年1月21日(日)
    主催 NHKエデュケーショナル、NHKプロモーション、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁
    共催 国立新美術館
    協力 一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
    会場 国立新美術館講堂
    登壇 田中 正之(国立西洋美術館長)、内藤廣(建築家)、深井晃子(キュレーター/服飾研究家)、田根剛(建築家)、横山いくこ(香港M+リードキュレーター)、河瀬大作(Daysプロデューサー/一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM理事)、倉森京子(NHKエデュケーショナルプロデューサー/一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM理事)
    進行 齋藤精一(パノラマティクス主宰/一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM理事)


    国立新美術館での「デザインミュージアムジャパンインフォメーションセンター」開催に合わせたフォーラム。1月21日に開催したVol.2は、「デザインミュージアム宣言~デザインミュージアムをデザインする~」と題して、壇上に国立西洋美術館長の田中正之さん、建築家の内藤廣さん、キュレーター・服飾研究家の深井晃子さんをお迎えしました。また、香港にあるミュージアム「M+」のリードキュレーター横山いくこさん、「DESIGN MUSEUM JAPAN展」展示構成も担当した建築家の田根剛さんもオンライン参加。モデレーターは、パノラマティクス主宰そして一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM理事の齋藤精一さん。一般社団法人Design-DESIGN MUSEUMから河瀬大作さん、倉森京子さんも議論に加わりました。

    国立デザインミュージアム実現に向けて
    「デザインミュージアム宣言」

    まず、齋藤精一さんから「デザインミュージアム宣言」という提言が発表されました。
    一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM趣意書」に始まり、2020年放送開始のNHK番組「デザインミュージアムをデザインする」、番組から生まれた展覧会、海外展開など、デザインミュージアムに向けた活動の経緯を紹介。
    そして、今後の活動の柱・目標として、以下の8つの点を挙げました。

    ①デザインミュージアムのアウトカム
    プロダクト・グラフィック・工芸・民藝・知恵・産業など様々な言葉によって定義されてきたものを「デザイン」として再定義。日本中の地域に存在する有形物・無形物を文化として後世に残すことを最大のミッションとする。そして、国立のデザインミュージアムは日本国内での活用だけではなく、外交・文化交流・教育・経済発展・産業振興のソースとして様々な活用ができるようなプラットフォームとして機能することを目指す。

    ②扱うもの/デザインミュージアムでのデザインの定義
    工芸・民藝だけではなく、近現代のデザインはもちろん、地域での取り組みなど幅広く取り扱う。デザインの定義は時代とともに変わっていくので、常に議論が必要。様々なデザインに関わる分野のアドバイザリーボードを設置する。

    ③国立を実現するための体制のデザイン
    独立行政法人国立美術館内にデザイン課もしくはデザイン資源活用グループの設置を目指す。

    ④デザインミュージアムの拠点の考え方
    国立の文化施設の主体であり、工芸や民藝の保護や振興、アーカイブも行っている「文化庁」。そして、デザイン資源の活用や地域産業の活性化を取りまとめている「経産省」。両者が初期段階から主体的に協業していくことを目指す。

    ⑤日本の中心となるデザインの拠点
    アーカイブを持たない、ネットワーク型の形式を目指す。
    すでに全国にあるデザインにかかわる様々な施設(民藝館/工芸館/デザインセンター/ミュージアム等)をネットワーク化し、所蔵品をデータベースでわかりやすく管理することを目指す。
    地域に分散するアーカイブの設置主体は、自治体や教育機関、企業や個人等が混在しているが、それらをつなげていく。
    全体をまとめる拠点を東京に設置。その拠点は国立アートセンターである「国立新美術館にしてはどうか」と提案。

    ⑥財源確保の考え方
    財源としては政府の公的財源と自治体の公的財源、そして企業寄付や納税制度などによる民間財源のハイブリッド型の可能性を探る。

    ⑦デザインミュージアム運営の目指す体制
    デザインのアーカイブ/ミュージアムを実現するために、デザイン史のプロ人材の育成、運営主体となる企業からの出向なども検討に入れ、協業体制を築いてゆく。

    ⑧メディアを活用した各地の継続的活動
    テレビ・新聞・雑誌などの様々なメディアを通して、デザインへの意識を持つことを働きかけ、デザインミュージアムの必要性を訴える。また、ミュージアムに向けた活動の共有やデザインによる地域への誘引(デザインツーリズム)などの取り組みも積極的に行っていくことで、文化的価値・資源を観光やまちづくりなど他の産業へと繋げてゆく。

    コレクション、アーカイブの観点から
    企業によるデザイン研究機関の実例

    シンポジウムの後半は、前半で発表された「デザインミュージアム宣言」を受けて、登壇者の方々からコメントをいただきました。キュレーター・服飾研究家の深井晃子さんは、設立から関わられた公益財団法人 京都服飾文化研究財団(KCI)の成り立ちと活動について紹介くださいました。

    深井晃子
    本日は、デザインミュージアムのアーカイブ、コレクションについて、私がこれまでやってきたことをご紹介します。私は公益財団法人 京都服飾文化研究財団(KCI)という、1978年に設立された西洋服飾の研究機関で仕事をしております。KCIは、美術館というかたちはもたずにコレクションに注力し、公開活動としては国内外の美術館などで展覧会を行ってきました。

    KCI設立の経緯をお話しします。1970年代、三宅一生さんや川久保玲さんに代表される日本のファッション産業が大きな力を持っていた時代に、ニューヨークのメトロポリタン美術館で「Inventive Clothes」という展覧会が開催されました。それを観た三宅一生さんの強い働きかけにより、1975年に日本で初めてのファッションの展覧会「現代衣裳の源流」展が京都国立近代美術館で実現しました。この展覧会は、当時ワコールの社長であった塚本幸一の力添えで実現に至りました。展覧会のあと、西洋ファッションの研究機関が必要だという話になり、ワコール1社の支援により“展示場を持たない研究機関”として財団が設立され、現在に至っています。13,000点の所蔵品があり、西洋のものが中心とはなりますが、20世紀後半に世界的な評価を受けた日本のファッションも多く、イッセイミヤケやコムデギャルソンほか、日本人デザイナーの資料の所蔵数は世界一です。

    設立以降、所蔵品をキュレーションして国内外で数々の展覧会を開催してきました。しかし、国立のミュージアムですと、京都国立近代美術館では展覧会をしておりますが、東京の国立美術館では「ファッションは美術館が扱う分野ではない」と明言されてきました。1994年に京都国立近代美術館を皮切りに世界7箇所を巡回した「モードのジャポニスム」展も、国立では開催できませんでした。1999年に巡回が始まった「身体の夢」展は、東京都現代美術館での展覧会が実現、ファッションとの分野で初めて公立の美術館の扉を開くきっかけとなりました。その後、こちらの国立新美術館では2007年に「スキン+ボーンズ-1980年代以降の建築とファッション」、2016年に「MIYAKE ISSEY展: 三宅一生の仕事」そして、昨年の「イヴ・サンローラン展」等、多くのファッション展が開催されています。以前には、国立で扱う分野ではないと言われたファッションですが、いまや人気の主題になっていると言えるでしょう。

    また、コレクションの周知を目指して2002年に書籍を出版しました。17世紀から現代までの衣装約700点の写真を掲載した本を、最初にドイツのタッシェンという出版社から出しました。非常に評判がよく、10カ国以上の翻訳が出て65万部ほど売れています。この本のおかげで世界に認知が広がりまして、世界中から展覧会の招聘があったり見学者が訪れています。

    展示会場を持つことのメリットとデメリットですが、メリットとしては、研究に十分なゆとりが持てますので、展覧会の準備をする際に充分な研究ができます。デメリットとしては、展覧会のたびに会場探しが大変なこと、またワコール一社の財源に頼っていますので永続性という意味では不安がないわけではありません。

    デザインミュージアムへの試み
    武蔵野美術大学美術博物館の実例

    元武蔵野美術大学美術館館長であり、現在国立西洋美術館の館長を務める田中正之さんによる、武蔵野美術大学時代のデザインミュージアムへの模索について。

    田中正之
    「国でデザインミュージアムを作るのが難しいのであれば、武蔵野美術大学の美術館をデザインミュージアムにしてしまえ」という試みにかつて関わっていた立場から、少しお話ができればと思います。武蔵野美術大学の美術館は、教育の観点からデザイン系の資料を多数収蔵しています。グラフィック・デザインの資料が約33,000点(ポスター約30,000点)、プロダクト・デザインの資料が約1,700点(椅子約350点)を収蔵しています。

    私が関わっていたときには、デザイン教育に焦点を当てた『ムサビのデザイン コレクションと教育でたどるデザイン史』(2011年)や、オリベッティとブラウンの事例からデザインと企業の関係を探る『デザインが語る企業理念:オリベッティとブラウン』(2013年)の企画に携わりました。デザイン評論家であり武蔵野美術大学の名誉教授でもあった柏木博先生の退任展でもありました『ムサビのデザインⅥ みんなのへや』(2016年)では、展示室をいくつかの部屋に区分けして、それぞれの部屋にウィーン工房とか、北欧デザインとか、それぞれのデザイン運動がどのような生活空間を提案したのか、どのような生活を送ることをデザインとして示していたのかを考える展示を行いました。

    田中正之
    2017年に開催された『モダンリビングへの夢-産業工芸試験所の活動から』は重要な展覧会だったと思います。かつての通産省による産業振興のためのデザイン・工芸の研究所であった、産業工芸試験所の活動を展示品で振り返る展覧会です。産業工芸試験所というのは、1950年に設立された機関で、日本の産業工芸を振興するために試作品をつくり、研究し、中小企業へアドバイスしていました。1993年に産業工芸試験所の後継機関である製品科学研究所が閉鎖された後、行き場を失っていた収蔵資料を、武蔵野美術大学がレスキューしましたで保管しております。

    同様の事例として「WA:現代日本のデザインと調和の精神 世界が見た日本のプロダクト―Paris, Budapest, Essen, Warsaw, Saint-Etienne, Seoul and Tokyo」展(2011年)があります。は、国際交流基金が主催し、約160点のプロダクトを通して、日本の伝統美、創造性や機能性にあふれた「和」のデザインを紹介する、世界6都市を巡回した展覧会です。これも展覧会が終わり戻ってきた展示品の行き場がなく、武蔵美ないために、武蔵野美術大学の美術館で保管お引きうけしました。国際交流基金では、海外で日本のデザインを紹介する展覧会を現在も多く企画していますが、日本でそれを発表する場所も保管する場所もありません。それはそういったものを整備するためにも、デザインミュージアムに繋がる話が必要だと思います。

    その後、田中さんは、デザインアーカイブにまつわる武蔵野美術大学の取り組みを紹介。それは以下の報告書にまとめられている。
    平成29年度 文化庁アーカイブ中核拠点形成モデル事業プロダクト・デザイン分野報告書

    この事業で制作したアーカイブプロジェクトのウェブサイトは現在も稼働しており、以下URLで閲覧可能です。 http://www.d-archive.jp/product

    国立のデザインミュージアムは
    実現可能か、ディスカッション
    田中
    ロンドンのデザインミュージアムであるV&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)は、とても重要な博物館です。1851年の第1回ロンドン万博で展示されたものもとに設立されました。万博が大きな起爆剤となりました。アメリカのフィラデルフィア美術館も、元は産業工芸系の美術館で、万博後に作られたものがそのまま永続的な美術館になりました。なので、実はデザインミュージアムをつくる最大の機会は、2025年に開催される大阪万博なのではないかと思います。

    深井
    私もぜひそれを申し上げたいと思っていました。万博というのは世界に向けたものとは言っても、実は国内産業の振興という意味合いが強い。次の万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」ですよね。デザインが、国際競争の武器であるということは認識しているわけですから、どういう形であれ、万博の場でデザインミュージアム宣言はした方がいいと思います。

    齋藤
    僕もまだ諦めていません。国の公的文書に「デザイン」という言葉が出てきたのは2019年あたりから。経産省がやっていた成長戦略未来都市会議には資料の1ページに「デザイン」という言葉が出てきます。

    内藤
    大阪万博はなかなかきついんじゃないかと思いますが(笑)。ただ、せっかくやるんだったら、アーカイブはできないまでもネットワークづくりなら始められる。美術館という箱をどうするかということよりもせめてハブくらい立ち上げるというのはあってもいいかなと思いました。

    1998年に韓国の金大中大統領が行った「デザイン立国宣言」をもう一度リファレンスする必要があると思う。当時の韓国は、IMFが入り、経済が一度ダメになった。その時の策のひとつとして、デザイン立国宣言があったわけです。それはすごく賢い方法で、まずはデザインを建て直そうということでLG、サムスン、ヒュンダイなどが取り組みました。私がグッドデザイン賞の委員長になった2007年にはもう日本は完全に負けていましたね。デザインを育てるには時間がかかるので10年を要しましたが、確実に芽が出ています。金大中さんがなぜそうしたかというと、国家が潰れかけていたからなんですね。

    一方、日本はなかなか潰れそうで潰れない国家なので、そういう危機感がない。とりあえずうまくやってきちゃった。でも、3.11や様々な災害が起きた時には、その場の復興が最優先ということでデザインの話にはならない。要は「デザイン」が、そういう国家的な危機に対して効果的なものだと思われていない。一般的には製品が表面にまとうもの、ペットボトルのカバーみたいなものだと思われている。デザインというのは「生」「死」と深く関わっている、私たちの生活に近いところにあるんだということを真剣に考えないと始まらない。そういう認識の元にデザインミュージアムが立ち上げるのがいいと思います。

    日本は第二次大戦で敗戦した後、石油資源もなく外貨を稼がねばならなかった。その時に海外に売れる物を作らねばということで、通産省(現在の経産省)が様々な制度を作ったり、Gマーク(グッドデザインアワード)を立ち上げたりした。物の善し悪しを国が決めるのはよくない、デザインは国ではなく、民業(企業)に任せるというのが経産省の立場。それで、高度成長期には結果的にいいデザインがたくさん生まれてきたという経緯がある。国立デザインミュージアムという話では、そこをうまくさばく必要がある。コミッティーを公正かつ健全なかたちで運営していかないと、うっかりすると危ない方向に行くので、それだけは気をつけていただきたいと思いました。

    国立西洋美術館館長、元武蔵野美術大学美術館館長の田中正之さん。

    国立西洋美術館館長、元武蔵野美術大学美術館館長の田中正之さん。

    田中
    国立西洋美術館の話をしますと、年間の予算がだいたい7億円で、うち国から来るのは5億円、残りの2億円は自分たちで稼ぐかたちになっています。自分たちで稼ぐ部分としては、展覧会の入場料収入の他に寄付金、協賛金などが挙げられます。資金集めをやっている身からしますと、企業からお金を集めるというのは全然簡単なことじゃない。その大きな理由のひとつはお金を出すことを株主が納得しないとならないということ。企業の使命は株価を上げて配当金を上げることだとなると、文化にはなかなかお金を出せない。企業が社会貢献、文化貢献をするという文化が広まらないと民間財源に頼るのは難しいと感じています。一方で個人の寄付金は増えています。日本には寄付文化がないと言われていますが、個人で寄付をするという機運は高まっていると言えるでしょう。ただ、個人の寄付金なので金額的にはすごく大きいわけではありません。

    また、国が美術館を建てるためのお金を出すのはおそらく非常に難しい。1953年に東京国立近代美術館ができたとき、最初の建物は日活本社ビルを活用しました。その後建物が必要になった時も、国はお金がないので、株式会社ブリヂストンの石橋正二郎さんの個人的支援のおかげで美術館が建てられています。日本の国立美術館は欧米と比べても圧倒的に民間の資金を使って美術館を建ててきたし、活動もしてきたと言えます。

    深井
    私は長い間、国立独立行政法人の外部評価委員会の委員をやってきましたが、いつも「予算がない」「人がいない」「お金がない」「収蔵庫が満杯だ」という話になり、10年以上何も変わらなかった。それが実情だと思います。デザインは民間の企業との協業が必要不可欠だと思います。その時に、国のものであれ民間の企業であれ、何がメリットとしてリターンされるのかを見える化する必要があると感じます。

    齋藤
    それは僕も思います。国は変わりませんね。でも、デザインと民間の絡み方は、今後変わってくるのではないかと思います。海外の事例を見ていますと、サステナビリティや社会貢献、文化貢献といったところが企業の評価や株価に反映されているところも多い。その波はいずれ日本にも来ると思います。

    内藤
    文化で生きていくしかないんですよ、この国は。国は本当にわかってない。誰か政治家でそういう演説をする人が出てこないかなと思うんですが、要するに国会の真剣な議論の中に「デザイン」という言葉が混ざらないとダメです。文化庁は予算があまりに少ない。そのうちの半分くらいは文化財保護に割かれているんですから。文化財の修復はどうしたって必要なんですから。私はJDP(公益財団法人日本デザイン振興会、グッドデザイン賞)の会長をやっていますけど、そこは経産省の管轄にある。デザインというものが、文化庁行政なのか経産省行政なのか、そこをなんとかしなきゃいけない。文化庁も経産省も予算がないとなると、お金を持っている国交省なのか。箱ものをつくるとしたら、そうしたいくつものハードルを越えなくてはいけないはずで、何年かかるかわからない。その意味でネットワーク化には賛成で、まずはそこからかなという気がします。

    ただ、なくなっていくものをどう保護するかという課題はある。いくらデジタルでネットワーク化とは言っても、「もの」の力というのは非常に強い。先日、1950年代の東芝の電気釜が展示されているのを見たんですが、見るだけで子どもの頃の記憶や、電気炊飯器が家にやってきた時のことが思い出された。時代と「もの」の力を感じました。残すものを挙げ始めるとキリがないから最低限でもいいから、どこかに大きな倉庫でも借りてアーカイブする必要はある。「デジタル化」と「もののアーカイブ」の両方を考えなくてはならない。

    齋藤
    アーカイブの場所として、廃校や空き家が使えないのかを考えたことがあります。現在の法律では第三種区域なので、倉庫としては使えないんですが、今後なんとかなるかもしれない。可能性はあると思います。また、内藤さんもおっしゃったように経産省、文化庁、国交省とか行政市区町村だっていうような話はもうやめたほうがよくて、前に進む方法を考えた方がいいですよね。

    建築家として、建物だけではなく多くの都市計画も手がけ、日本デザイン振興会の会長を務める内藤廣さん。

    建築家として、建物だけではなく多くの都市計画も手がけ、日本デザイン振興会の会長を務める内藤廣さん。

    KCI深井晃子さん

    KCI深井晃子さん

    深井
    収蔵庫の問題というのは、とにかくめちゃくちゃ頭が痛いことのひとつで、アーカイブを作ることなんて正直できないと思います。現実味がありません。でも、ハブのネットワークを作っていくというのは非常にいいと思う。小さくてもいいから、まずは動き始めるのがいいのではないかと思います。
    デザインミュージアムで何を扱うかというのは、非常に大きな問題です。先ほどの内藤先生のお話にもありましたが、「もの」はそれ自体が非常によく語ります。文化や経済、政治をみんな語ります。なぜその「もの」がつくられたのかを来場者が考えられるようなデザインミュージアムにして欲しい。それが私のデザインミュージアムへの思いです。

    田中
    個人の思いとしては国立のデザインミュージアムは絶対つくるべきだと強く思います。ではどうやってつくるのか。国立美術館のどこかにデザイン課を作り、展示は国立新美術館で、というお話もありましたが、そんな段階を踏んでいくようなやり方では無理だと思います。一旦そんなことをしてしまったら国はもうデザインミュージアムを設立するお金は絶対に出してくれないだろうと思います。やるなら最初から国立デザインミュージアムをつくる!という目標に向かって進むのがよいと思います。ただ、そうすると相当に時間がかかってしまうでしょう。例えば、北海道に「ウポポイ(民族共生象徴空間)」という国立博物館ができましたが、それは国がいちからつくったわけではなく、既存の博物館を国立につくり替えました。そのように、既存の施設を作り替えることもひとつのアイデアだと思います。

    もう一つ、財源に関して。先ほど横山さんがM+はまず基金が作られ、その基金で建てられて、またそれが活動の原資になっている、という話をされていましたが、それと同じように基金(独立行政法人、公益法人等や地方公共団体が、国から交付された補助金等を原資として、特定の用途に充てるため、他の財産と区分して保有する金銭)という発想もありではないか、と思いました。これまでの日本の美術館博物館では、ほとんどない考え方だと思います。国や地方自治体、あるいは公的機関か民間かといったボーダーを取り払って基金を作る。そこには、国からも、民間や個人からも出資を募る、その基金を使ってミュージアムを作るという発想もしていかないといけないのではないでしょうか。ランニングコストに関しては、「M+」のように文化地区の中に商業地区も作り、利益をあげていくような民間の知恵を借りながら運営していくことも必要。

    横山いくこ
    先ほど企業はデザインにお金を出さないという話がありましたが、実は出すんじゃないかなと思います。そこにはメリットを可視化することが重要。例えば、日本の企業のユニクロの例で言うと、ロンドンのテートモダンやニューヨークのMoMAなどに巨額の寄付をし、ユニクロという名がついたプログラムをたくさん行っています。それはユニクロが世界で新しいオーディエンスを作るという目的、リターンが確実にあるから。企業が美術館を信用してくれれば、企業広報とはまったく違う価値がつくれる。そこには国立美術館の信頼性が必要。日本企業だけではなく、日本のオーディエンスにリーチしたいという海外のブランドや企業もたくさんあると思います。海外の企業はお金を持っていますから。

    とにかくアクションプランが重要。日本では1964年の万博の前、1960年に「世界デザイン会議」がありました。そのような段階を踏んで、日本のデザインは開花したのだと思います。2025年の万博で大きな組織や国に気に留めてもらえるようなアクション、展示、シンポジウム、本、ウェブ、そうしたものの準備はできると思いました。

    齋藤
    日本にデザインミュージアム必要ということは、みんな口を揃えて言う。でも行政も民間も誰も実行するがいない。だから一般社団法人Design-DESIGN MUSEUMは息切れしないように、NHKに協力して番組を作ったり展覧会を行ったりという活動を続けている。

    2025年の万博で価値観が変わることを期待したいのは、国内には本当に資源がなくなっていて、今後つくれなくなるものがたくさんあるということです。今はものづくりの業界にもAIがどんどん参入してきて、作り方、製造、技術、素材、リバースエンジニアリング……と様々なデザインがAIに変わってきている。「もの」の実物がなくなってしまったり、人がいなくなってしまったら追加の調査研究ができなくなってしまう。だからアーカイブの必要性があるんです。少しずつでも始めていかないといけない。

    僕らはウェブサイトのプロトタイプを自分たちで作ったり、いろいろやっているんですけど、この運営をできるだけ民間との協業などで進めていきたい。新しい活用方法を考えて多軸的な魂胆を持って進めないと進まない気がします。

    田根剛
    本当に「デザインミュージアムをつくろう!」という活動の動きを止めないようにしたいと思っています。今回NHK番組で各地のデザインを探したり民藝館を尋ねたり、地域のデザインを集めて国立新美術館で展覧会をやらせてもらいましたが、大きな発見だったのは、「もの」の力というのは、学芸員の方々が研究されているからこそ出てくるものだということ。さらにそこにクリエーターが入ることによって、「もの」がしっかりと発信される。デザインは広範囲であるからこそ、分野と世代が強く繋がっていかなければならない。

    内藤
    事例を二つほど。私は富山県美術館を設計したんですが、公立の美術館で初めて「アート&デザイン」という名前を入れました。それは当時の石井隆一知事と文化庁長官の青柳正規さんが親しくて、デザインミュージアムをつくったら、富山県美はそのブランチになるという話だったのです。
    もう一つは、柳宗理さんが亡くなった時に、彼のアーカイブをどこが所蔵するかという話がありました。紆余曲折して金沢美術工芸大学に行くことになったんですが、今後もきっとそういう人がたくさん出てくると思うから、どこかに受け皿が必要。
    そして最後にAIの話。これは喫緊の課題だし、先ほどの生死の問題にも繋がってくると思う。企業の存続にも関わってくる問題なので、きっと国が動く。そうした議論とデザインミュージアムの話を常に繋げておくといいと思いました。

    齋藤
    まずは2025年の万博ですね。今日「デザインミュージアム宣言」ができたので、今後はアクションプランを発表し、ワークシェアをしていきながら走り続けていきたいと思います。皆さん本日はありがとうございました。

    Zoomで参加した建築家の田根剛さん(パリ)と「M+」の横山いくこさん(香港)。

    Zoomで参加した建築家の田根剛さん(パリ)と「M+」の横山いくこさん(香港)。

    (文・構成/上條桂子)



    関連展示

    フォーラムの開催にあわせ、日本全国19地域の「デザインの宝物」を映像中心に紹介するDESIGN MUSEUMインフォメーションセンターを国立新美術館に開設いたしました。

    日時:2024年1月11日(木)~21日(日)10:00~18:00 (休館日)1月16日(火)
    場所:国立新美術館 エントランスフロア(1階)

  • 「DESIGN MUSEUM JAPAN:日本のデザインを探る」展

    「DESIGN MUSEUM JAPAN:日本のデザインを探る」展

    開催概要

    2023年3月28日から6月11日までブラジルのジャパン・ハウス サンパウロにて、「DESIGN MUSEUM JAPAN:日本のデザインを探る」展を開催しました。「DESIGN MUSEUM JAPAN」プロジェクトにこれまで参加したクリエーターのなかから、皆川明氏、須藤玲子氏、水口哲也氏、田根剛氏、原研哉氏、辻川幸一郎氏、乾久美子氏、森永邦彦氏が日本各地をリサーチした内容を展示。それぞれのクリエーターが訪れた地域の〈デザインの宝物〉とその背景にある物語をポータブルな箱に詰め込み、まるで“旅するミュージアム”のように日本のクリエイティビティを紹介しました。

    展覧会名 DESIGN MUSEUM JAPAN:
    日本のデザインを探る
    会期 2023年3月28日(火)~6月11日(日)
    会場 ジャパン・ハウス サンパウロ 2F
    パウリスタ大通り 52番地
    開館時間 火曜日〜金曜日 10時〜18時
    土曜日 9時〜19時
    日曜日/祝日 9時〜18時
    観覧料 無料
    主催 ジャパン・ハウス サンパウロ、NHK、
    NHKエデュケーショナル、
    NHKプロモーション
    協力 一般社団法人
    Design-DESIGN MUSEUM

    展覧会の様子

    展覧会の様子

    2022年に国立新美術館で開催した展示の構成や展示デザインを会場となったジャパン・ハウス サンパウロのために田根剛氏率いるATTAが再構成しました。展⽰グラフィックは、岡本健デザイン事務所が担当しました。

    展覧会の様子
    展覧会の様子
    展覧会の様子
    展覧会の様子

    展示写真 Photo ©Wagner Romano

    ワークショップ

    「集めてつなごう!ブラジルの〈デザインの宝物〉」
    会場では、来館者からブラジルの「デザインの宝物」を集めるワークショップを開催。会期中、多くの方にご参加いただきました。

    ワークショップ

    関連イベント

    セミナー「岩手と奄美でデザインの宝物を探る」

    セミナー「岩手と奄美でデザインの宝物を探る」

    2023年6月6日(水)19:00~
    本イベントでは展示で紹介されている展覧会でフィーチャーしている<宝物>のなかから1万年前の人類が生み出した「暮らし」のデザインや、祭祀を司ったノロの装束「ハブラギン」の2つに注目し、岩手県の御所野縄文博物館、そして鹿児島県・奄美の元気の出る館を中継で巡りました。「Design-DESIGN MUSEUM」の理事である河瀬大作氏が進行を務めました。
    こちらから視聴できます(日本語)
    主催:ジャパン・ハウス サンパウロ、NHKエデュケーショナル、NHKプロモーション、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁

    セミナー「小さな風景:ブラジルと日本におけるコミュニティスペースの構築」

    セミナー「小さな風景:ブラジルと日本におけるコミュニティスペースの構築」

    2023年9月25日(月)19:00~
    建築家の乾久美子氏と「Instituto Fazendinhando」理事長であるエステル・カーホ氏をゲストに迎え、ブラジルと日本における市民の実践的なソリューションが作るコミュニティスペースについて語っていただきました。メディエーターは建築家でありジャーナリストでもあるマルセロ・リマ氏が務めました。
    こちらから視聴できます(日本語)
    主催:ジャパン・ハウス サンパウロ、NHKエデュケーショナル、NHKプロモーション、独立行政法人日本芸術文化振興会、文化庁

  • DESIGN MUSEUM JAPAN展
    集めてつなごう 日本のデザイン

    DESIGN MUSEUM JAPAN展 集めてつなごう 日本のデザイン

    開催概要

    DESIGN MUSEUM JAPAN展 集めてつなごう 日本のデザイン

    2022年11月30日から12月19日まで国立新美術館にて、「DESIGN MUSEUM JAPAN展 集めてつなごう 日本のデザイン」展を開催しました。本展では、2020年から始まった「DESIGN MUSEUM JAPAN」プロジェクトに参加した総勢13名クリエーターが日本各地をリサーチした内容を展示。会場には、入場者から「あなたにとってデザインとは?」という問いに対する答えを募集するコーナーや日本全国の「デザインの宝物」を集めるブースを設置し、ワークショップを行いました。
    また、NHK Eテレで放送された「デザインミュージアムをデザインする」のアーカイブ映像も一挙に公開し、様々なクリエーターによる多様なデザインミュージアムのあり方を紹介しました。

    展覧会名 DESIGN MUSEUM JAPAN展 
    集めてつなごう 日本のデザイン
    会期 2022年11月30日(水)~12月19日(月)
    会場 国立新美術館 企画展示室1E
    東京都港区六本木7-22-2
    開館時間 10:00~18:00(金曜日は20:00まで)
    ※入場は閉館の30分前まで
    観覧料 無料
    主催 NHK、国立新美術館
    協力 一般社団法人
    Design-DESIGN MUSEUM

    本展で紹介した13人のクリエーターと、
    各地で探した〈デザインの宝もの〉について

    皆川 明 (デザイナー)
    「山形緞通」 
    〈雪国のくらし〉を支えるデザイン 
    (山形/山形県)

    西沢 立衛 (建築家)
    「佐渡・宿根木集落」 
    〈海の民の合理性〉あふれる町並み 
    (佐渡/新潟県)

    柴田 文江 (プロダクトデザイナー)
    「甲斐絹」 
    千年続く織物 郡内織物のルーツ 
    (富士吉田/山梨県)

    乾 久美子 (建築家)
    「小さな風景」 
    無名の工夫の集積にデザインを見る 
    (富士宮・伊豆/静岡県)

    須藤 玲子 (テキスタイルデザイナー)
    「最先端スポーツウエア」 
    発想源は富山の「あんどん祭」 
    (小矢部/富山県)

    三澤 遥 (デザイナー)
    「南方熊楠コレクション」 
    万物をフラットにみる収集のデザイン 
    (白浜/和歌山県)

    原 研哉 (グラフィックデザイナー)
    「プロペラ」 
    合理性が生む揺るぎないかたち 
    (倉敷/岡山県)

    廣川 玉枝 (服飾デザイナー)
    「博多祇園山笠」 
    更新されながら受け継がれる情熱の結晶 
    (福岡/福岡県)

    森永 邦彦 (ファッションデザイナー)
    「ノロの装束“ハブラギン”」 
    着る人を守る意思が生んだデザイン 
    (奄美/鹿児島県)

    辻川 幸一郎 (映像作家)
    「ぶちゴマ、そこから広がるさまざまなコマ」 
    おもちゃは人間が最初に触れるデザイン 
    (姫路/兵庫県)

    水口 哲也 (エクスペリエンスアーキテクト)
    「トランスアコースティックピアノ」 
    伝統の匠と最新のテクノロジーの出会いをデザイン 
    (浜松/静岡県)

    田川 欣哉 (デザインエンジニア)
    「柳宗理のデザインプロセス」 
    カトラリーを例に 
    (金沢/石川県)

    田根 剛 (建築家)
    「縄文のムラ」 
    1万年前の住空間にもデザインがあった 
    (一戸/岩手県)

    展覧会の様子

    展覧会の様子

    国立新美術館の1階にある企画展示室Eを大きなひとつの空間にして、13名のクリエーターのリサーチがそれぞれ島のように見える展示を展開しました。
    田根剛氏が率いるATTAが展示デザイン、岡本健デザイン事務所が展示グラフィックを担当。

    展覧会の様子
    展覧会の様子
    展覧会の様子
    森永邦彦「ノロの装束“ハブラギン”」

    森永邦彦「ノロの装束“ハブラギン”」

    辻川幸一郎「ぶちゴマ、そこから広がるさまざまなコマ」

    辻川幸一郎「ぶちゴマ、そこから広がるさまざまなコマ」

    柴田文江「甲斐絹」

    柴田文江「甲斐絹」

    皆川明「山形緞通」

    皆川明「山形緞通」

    廣川玉枝「博多祇園山笠」

    廣川玉枝「博多祇園山笠」

    田根剛「縄文のムラ」

    田根剛「縄文のムラ」

    須藤玲子「最先端スポーツウエア」

    須藤玲子「最先端スポーツウエア」

    原研哉「プロペラ」

    原研哉「プロペラ」

    田川欣哉「柳宗理のデザインプロセス」

    田川欣哉「柳宗理のデザインプロセス」

    三澤遥「南方熊楠コレクション」

    三澤遥「南方熊楠コレクション」

    記者発表に参加した9名のクリエーターと岡本健(展示グラフィック)、野見山桜(展示コーディネーター)

    記者発表に参加した9名のクリエーターと
    岡本健(展示グラフィック)、野見山桜(展示コーディネーター)

    ワークショップ

    ワークショップ

    「あなたにとってデザインとは?」
    来場者が考える「デザイン」を集めるワークショップ。
    来場者の答えを壁に投影する仕組みを導入。
    来館者自らが自身の答えを書いた紙を展示室の壁に貼れるようにしました。
    会期が進むにつれ、多様な答えが集まり、展示室の賑やかさも増しました。

    「集めてつなごう!日本の〈デザインの宝物〉」
    来場者が考える日本各地の〈デザインの宝物〉を集めるワークショップ。
    特設コーナーに置かれた日本地図に来場者が自分の考える「デザインの宝物」のある場所にピンを打って紹介しました。
    地元の名産品や面白い建築、旅行で訪れた際に見たお祭り、地場産業に取り組む企業の工場など、日本全国にある様々な〈デザインの宝物〉が集まりました。

    ワークショップ

    関連イベント

    ラウンドテーブル
    「デザインの展覧会を企画する」

    ラウンドテーブル「デザインの展覧会を企画する」

    2022年12月17日(土)11:00~13:00
    近年、ギャラリーや美術館で盛んに催されているデザインの展覧会。
    デザイン史上の人物や物事に焦点をあてたものから、最近のデザイン業界の動向やデザイナーの活動を紹介するもの、実験的な取り組みを展覧会というかたちで披露するものまで様々です。
    本イベントでは、デザインの展覧会の企画に取り組んできた4名の方々と最近関わった展覧会の話を交えながら、デザインの展覧会を企画することについて、登壇者が意見交換や議論をしました。

    出 演:草刈大介(ブルーシープ代表)
        野田尚稔(世田谷美術館主任学芸員)
        田代かおる(ライター、インディペンデントキュレーター)
        野見山桜(本展示コーディネーター)
    進 行:保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)
    主 催:一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
    協 力:NHK

    出 演:
    草刈大介(ブルーシープ代表)
    野田尚稔(世田谷美術館主任学芸員)
    田代かおる(ライター、インディペンデントキュレーター)
    野見山桜(本展示コーディネーター)
    進 行:
    保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)
    主 催:
    一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
    協 力:NHK

    トークセッション「国立デザインミュージアムを作るには?」

    トークセッション「国立デザインミュージアムを作るには?」

    2022年12月17日(土)16:00~18:00
    デザインや建築の展覧会のキュレーションを行う3人の登壇者がそれぞれの知見から基調講演を行い、下記の3つの軸でトークを繰り広げました。
    ・日本にまだないデザインミュージアムがなぜ必要なのか?
    ・どうしたら創れるのか?
    ・どんなミュージアムができればよいのか?

    出 演:保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)
        横山いくこ(香港M+リードキュレーター)
        野見山桜(本展示コーディネーター)ほか
    進 行:齋藤精一(一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM)
    主 催:一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
    協 力:NHK

    出 演:
    保坂健二朗(滋賀県立美術館ディレクター)
    横山いくこ(香港M+リードキュレーター)
    野見山桜(本展示コーディネーター)ほか
    進 行:
    齋藤精一(一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM)
    主 催:
    一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
    協 力:NHK

    イベントのレポートはDesign-DESIGN MUSEUMのNoteにてご覧いただけます。

    「DESIGN MUSEUM JAPAN展」ギャラリートーク

    「DESIGN MUSEUM JAPAN」プロジェクトに参加したクリエーターを展覧会場にお呼びしてギャラリートークを2回実施しました。


    「DESIGN MUSEUM JAPAN展」ギャラリートーク

    「DESIGN MUSEUM JAPAN展」ギャラリートーク①
    2022年12月2日(金)18:00~19:30

    出 演:乾久美子(建築家)
        田根剛(建築家)
        廣川玉枝(服飾デザイナー)ほか
    進 行:齋藤精一(一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM)

    出 演:
    乾久美子(建築家)
    田根剛(建築家)
    廣川玉枝(服飾デザイナー)ほか
    進 行:
    齋藤精一(一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM)

    「DESIGN MUSEUM JAPAN展」ギャラリートーク

    「DESIGN MUSEUM JAPAN展」ギャラリートーク②
    2022年12月9日(金)18:00~19:30

    出 演:柴田文江(プロダクトデザイナー)
        辻川幸一郎(映像作家)
        田根剛(建築家)ほか
    進 行:倉森京子・河瀬大作(一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM)

    出 演:
    柴田文江(プロダクトデザイナー)
    辻川幸一郎(映像作家)
    田根剛(建築家)ほか
    進 行:
    倉森京子・河瀬大作(一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM)

  • DESIGN MUSEUM BOX展
    集めてつなごう 日本のデザイン

    DESIGN MUSEUM BOX展 集めてつなごう 日本のデザイン

    開催概要

    DESIGN MUSEUM BOX展 集めてつなごう 日本のデザイン

    2021年4月10日~5月9日までGinza Sony Parkにて、「DESIGN MUSEUM BOX展 集めてつなごう 日本のデザイン」展を開催しました。2021年に始まった「DESIGN MUSEUM JAPAN」プロジェクトに参加した5名クリエーターが日本各地をリサーチした内容を展示。日本全国の「デザインの宝物」を集めるブースを設置し、ワークショップを行いました。

    展覧会名 DESIGN MUSEUM BOX展 
    集めてつなごう 日本のデザイン
    会期 2021年4月10日(土)~5月9日(日)
    *緊急事態宣言により4月25日(日)までの開催
    会場 Ginza Sony Park
    東京都中央区銀座5-3-1
    開館時間 11:00~19:00
    観覧料 無料
    主催 NHK
    協力 一般社団法人
    Design-DESIGN MUSEUM

    本展で紹介した5人のクリエーターと、
    各地で探した〈デザインの宝もの〉について

    森永 邦彦 (ファッションデザイナー)
    「ノロの装束“ハブラギン”」 
    着る人を守る意思が生んだデザイン 
    (奄美/鹿児島県)

    辻川 幸一郎 (映像作家)
    「ぶちゴマ、そこから広がるさまざまなコマ」 
    おもちゃは人間が最初に触れるデザイン 
    (姫路/兵庫県)

    水口 哲也 (エクスペリエンスアーキテクト)
    「トランスアコースティックピアノ」 
    伝統の匠と最新のテクノロジーの出会いをデザイン 
    (浜松/静岡県)

    田川 欣哉 (デザインエンジニア)
    「柳宗理のデザインプロセス」 
    カトラリーを例に 
    (金沢/石川県)

    田根 剛 (建築家)
    「縄文のムラ」 
    1万年前の住空間にもデザインがあった 
    (一戸/岩手県)

    展覧会の様子

    展覧会の様子

    Ginza Sony Parkを会場に、5名のクリエーターのリサーチがポータブルなBOXに詰め込まれて展示されました。
    田根剛氏が率いるATTAが展示デザイン、岡本健デザイン事務所が展示グラフィックを担当。

    展覧会の様子
    展覧会の様子
    展覧会の様子
    展覧会の様子

    ワークショップ

    「集めてつなごう!日本の〈デザインの宝物〉」
    来場者が考える日本各地の〈デザインの宝物〉を集めるワークショップ。特設コーナーに置かれた日本地図に来場者が自分の考える「デザインの宝物」のある場所にピンを打って紹介しました。
    地元の名産品や面白い建築、旅行で訪れた際に見たお祭り、地場産業に取り組む企業の工場など、日本全国にある様々な〈デザインの宝物〉が集まりました。

    ワークショップ

    2021年のGinza Sony Parkでの展示は、2020年に開催された以下の展示をまとめたものになります。

    一戸/岩手県 3/6(土)〜21(日), 6/6(火) 〜8/1(日)盛岡市民文化ホール
    田根剛(建築家)×御所野縄文博物館 「縄文のムラのデザイン」

    金沢/石川県 2/27(土) 〜4/3(土)柳宗理記念デザイン研究所
    田川欣哉(デザインエンジニア)×柳宗理記念デザイン研究所
    「柳宗理のデザインプロセス カトラリーを例に」

    浜松/静岡県 3/9(火) 〜4/3(土) ヤマハ イノベーションロード
    水口哲也(エクスペリエンスアーキテクト)×ヤマハ イノベーションロード 「トランスアコースティックピアノ 匠とテクノロジーの出会い」

    姫路/兵庫県 3/6(土)〜4/4(日)日本玩具博物館
    辻川幸一郎(映像作家)×日本玩具博物館 「ぶちゴマ、そこから広がるさまざまなコマ」

    奄美/鹿児島県 3/6(土) 〜17(水)宇検村生涯学習センター
    森永邦彦(ファッションデザイナー)
    ×宇検村生涯学習センター 元気の出る館/瀬戸内町立図書館・郷土館 「ノロの装束“ハブラギン”」
    3/20(土・祝) 〜31(水) @瀬戸内町立図書館・郷土館

    関連イベント

    DESIGN-DESIGN MUSEUM BOX TALK1

    DESIGN-DESIGN MUSEUM BOX TALK1

    2021年4月17日(土)15:00〜
    参加クリエーターである田川欣哉氏と森永邦彦氏を会場にお呼びしリサーチについてお話を伺いました。町健次郎氏(瀬戸内町立図書館・郷土館 学芸員)と渡聡子氏(宇検村教育委員会事務局 学芸員)にもオンラインでご参加いただきました。モデレーターは、一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM理事の齋藤精一氏が務めました。
    こちらから視聴できます
    主催:一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
    協力:NHK エデュケーショナル、NHKプロモーション

    DESIGN-DESIGN MUSEUM BOX TALK2

    DESIGN-DESIGN MUSEUM BOX TALK2

    2021年5月1日(土)15:00~
    参加クリエーターであるプロダクトデザイナーの柴田文江氏とキュレーターの横山いくこ氏、一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM代表理事の倉森京子氏を交えて「日本にふさわしいデザインミュージアムの姿」について考えました。モデレーターは、一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM理事の河瀬大作氏が務めました。
    こちらから視聴できます
    主催:一般社団法人Design-DESIGN MUSEUM
    協力:NHK エデュケーショナル、NHKプロモーション

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